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全国印章技術大競技会『労働大臣賞』受賞

辻村浜夫 スペシャルインタビュー

03 全国印章技術大競技会『労働大臣賞』受賞

—–はんこ屋になるためには、免許や資格が必要ですか?

法律上は、資格がないと開業ができないというわけではないですが、彫刻の技量をはかる基準として、技能士の検定試験というのがあります。学科と実技 の試験ですが、だいたい8割が実技の試験になります。2級は会社の四角いはんこで、1級は代表者印を彫ります。最大で4時間くらいで彫れないと合格できま せん。

—–そんなに早く彫らないといけないなんて、大変そうですね。

辻村浜夫検定試験を受ける人は時間内に彫れるように練習をしてから来ますので、だいたいの人は彫れると思います。

僕が修業をしていたときは、待ち彫り(まちぼり)といって、お客さんが待っている間に彫るという訓練をしていました。普通の出来合いと同じような材料であれば15~20分で仕上げます。

ただそういうのですと良いものはなかなかできませんが、間に合わせのためや、今日来て今日欲しいというお客さんは、ただ早くて安ければ良いという感 じですので、お客さんの要望に応えるために素早い対応をします。急ぎのお客さんはとても多いので、素早い対応ができなければ商売にもならないですし、試験 にも落ちてしまいます。僕は1級はとっていないですが。

—–1級ってそんなに大変なのですか?

第三回全国印章技術大競技会 労働大臣賞 受賞受ければとれると思いますが、当時は受験資格を満たしていなかったので、試験を受けることができませんでした。

僕はちょっと珍しいケースで、若いときにコンクールで労働大臣賞をいただきましたが、それは修業を始めてから4~5年の頃でしたので、経験年数が足りないという理由で受験資格が得られなかったのです。2級で7年、1級で15年ほどの実務経験が必要ですので。

先生も、「1級の人でもとれない賞をとったんだからとらなくていいよ」と言ってくださったということもありまして、僕は1級をとっていません。

—–1級の人でもとれない「労働大臣賞」を受賞されたということで、実力は十分すぎるほど証明されていますね。

一(いち)という文字が難しくて、手彫りの訓練がきちっとできていない人は、横棒の一を使いこなすことができません。篆書(てんしょ)という書体で 一はいろいろな形がありますが、空間の広い横棒の一は、バランスの取り方や使い方が難しいので、折れ曲がった形をしている一を使って空間を埋める人が多い です。

書体にはおおまかなルールはありますが、その先は彫刻する人の技量とセンスによりますので、彫る人によっては全然違う仕上がりになります。この部分も機械彫りとの違いです。

—–辻村社長のセンスが好きで依頼されるお客さんもいますか?

多少いますね(笑)。でもそれが手作りという、彫刻の妙味です。

そういう依頼が増えると本当に嬉しいですので、お客さんの期待に応えられるように普段からたくさん字を書いて練習をしています。

—–どのような練習ですか?

全国の「一の宮」全国には「一の宮」という大きな神社がたくさんあります。この辺りですと三島大社や富士宮の浅間大社もそうなのですが、伊豆の国一の宮とか、駿河の国一の宮という言い方がありまして、それを今年に入ってからいろいろな書体で彫り始めています。

昨年は西国三十三カ所のお寺の名前を彫りました。これらはお客さんからの注文で彫っているわけではなくて、自分の技量の訓練のために彫っています。

自分が得意な書体、苦手な書体を普段から訓練しておかないと、お客さんからの注文は、僕の好きな文字や得意な書体ばかりではないですので。

—–毎日が修業なのですね。でも私がお客さんだったら、そうやって技を磨き続ける職人さんにお願いしたいと思います。注文の際は、書体を指定して購入することができるのですか?

うちでは、お客さんに選んでいただける書体をできるだけ豊富に提示しています。ご注文の際に、仕上がりの見た目の感じをいくつか見たいと言われた場合は、お時間をいただいてスケッチして、それをお客さんに見ていただいて、こういう風合いになりますというふうにしています。

名前の見本を提示するはんこ屋の多くは、過去に誰か他の人が彫ったものをお客さんに見せていますが、僕は自分の癖やアレンジの具合も含めてお客さん に見ていただきたいので、今少しずつ自分の見本を増やしていっています。その方が仕上がったときのギャップがないので、お客さんが期待していたものを提供 できますから。

—–同じ名前でも書く人によって違いますものね。お客さまを第一に考える辻村社長の人柄が、お仕事に現れていますね。

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